焦点距離と画角

Focal Length and Field of View別名:焦点距離、画角、FOV、視野角

概要

焦点距離は、レンズがどれだけ狭い範囲を大きく写すかを表す値で、ミリで表す。短いほど広い範囲が写り(広角)、長いほど狭い範囲が大きく写る(望遠)。写る範囲を角度で表したものが画角である。遠近感の強さは、焦点距離ではなくカメラの位置で決まる。

デモ

デモを読み込んでいます
左は 50 mm で固定、右はスライダーで選んだ焦点距離です。右側は、主役が同じ大きさに写るようにカメラの距離も変えています。「主役の大きさを保つ」を切ると、カメラの位置はそのままで写る範囲だけが変わり、遠近感は変わらないことが分かります。

使われる場面

  • 人物の撮影

    85〜135 mm 程度の中望遠で、少し離れて撮ると、顔の形がゆがまない。広角で近づくと、鼻が大きく顔の端が小さい、誇張された顔になる。

  • 広い空間や迫力の演出

    16〜24 mm の広角で近づき、室内を広く見せたり、手前の物を大きく誇張して勢いを出したりする。

  • 背景を大きく見せる

    望遠で遠くから写し、遠くの山や建物を、主役のすぐ後ろに大きく迫って見せる(圧縮効果)。

  • ゲームのカメラ

    一人称の視点では、画角を設定で変えられることが多い。広いほど周りが見えるが、画面の端の物が引き伸ばされ、動きの速さも強調される。

判断基準

こういうときこうする
人物の顔や体の形が、ゆがんで見える(鼻が大きい、手足が極端に長い)広角で近づきすぎている。焦点距離を 50〜85 mm 程度に伸ばし、そのぶんカメラを離す。
背景の山や建物を、主役の後ろに大きく迫って見せたい焦点距離を長く(135 mm 以上)して、主役の大きさが変わらないようにカメラを離す。
狭い部屋を広く見せたい、手前の物に迫力を出したい焦点距離を短く(16〜24 mm)して、カメラを近づける。画面の端の物は引き伸ばされるので、大事な物は端に置かない。
写る範囲だけを変えたい(遠近感は今のままでよい)カメラの位置はそのままで、焦点距離だけを変える(ズーム)。遠近感はカメラの位置で決まるので変わらない。
目で見た印象に近い、自然な見え方にしたい幅 36 mm のセンサーを基準にして、35〜50 mm 程度にする。

こう見えたら

指示の例

  • 人物の顔が横に広がって、鼻が大きく見える。焦点距離を 85 mm くらいに伸ばして、人物が同じ大きさに写るようにカメラを離して

  • 背景の山が小さくて迫力がない。焦点距離を 200 mm くらいまで伸ばしてカメラを後ろに下げ、山が人物のすぐ後ろに迫って見えるようにして

  • 部屋が狭苦しく見える。焦点距離を 20 mm くらいにして、部屋の隅から広く写して。人物は画面の端に置かないで

  • 画面の端の物が引き伸ばされて見える。焦点距離を 35 mm くらいに伸ばして、写る範囲が変わらないようにカメラを少し離して

詳細

焦点距離と画角の関係

焦点距離は、遠くにピントを合わせたときの、レンズの中心からセンサーまでの距離で、ミリで表す。焦点距離が短いほどセンサーに届く光の範囲が広くなり、広い範囲が写る。写る範囲を角度で表したものを画角と呼ぶ。センサーの幅を ww とすると、横の画角 θ\theta は次の式で決まる。

θ=2arctan⁡w2f\theta = 2 \arctan \frac{w}{2f}

幅 36 mm のセンサーでは、50 mm で約 40°、24 mm で約 74°、200 mm で約 10° になる。3D のカメラには、焦点距離で指定するものと、画角の角度で直接指定するものがある。角度で指定する場合も、この式で焦点距離と行き来できる。

遠近感を決めるのはカメラの位置

「望遠は背景を引き寄せる」と言われることがあるが、焦点距離を変えるだけでは遠近感は変わらない。カメラの位置が同じなら、望遠の絵は広角の絵の中央を切り取って拡大したものと同じになる。デモで「主役の大きさを保つ」を切ると、このことを確かめられる。

遠近感が変わるのは、主役を同じ大きさに写すために、カメラを近づけたり離したりするからである。主役までの距離を DD、主役から背景までの距離を bb とすると、背景の物は主役と比べて D/(D+b)D / (D + b) 倍の大きさに写る。

背景の見かけの大きさ主役の見かけの大きさ=hbhs⋅DD+b\frac{\text{背景の見かけの大きさ}}{\text{主役の見かけの大きさ}} = \frac{h_b}{h_s} \cdot \frac{D}{D + b}

hbh_b と hsh_s は背景と主役の実際の高さである。DD が小さい広角の寄りでは背景が小さく遠くに見え、DD が大きい望遠の引きでは D/(D+b)D / (D + b) が 1 に近づき、背景が主役の大きさに迫って見える。これが圧縮効果である。

// 焦点距離 f(mm)のとき、高さ h の主役が画面の高さの k 倍に写るカメラの距離
const hFov = 2 * Math.atan(36 / (2 * f));
const vFov = 2 * Math.atan(Math.tan(hFov / 2) / aspect); // aspect は画面の横÷縦
const distance = h / (k * 2 * Math.tan(vFov / 2));

見分け方と落とし穴

広角で近づいた絵では、手前の物が大きく奥の物が極端に小さくなり、画面の端の球が楕円に引き伸ばされる。端の引き伸ばしは、平らなセンサーに写す投影そのものの性質で、レンズのゆがみ(歪曲収差)とは別のものである。

画角の数値は、縦の角度、横の角度、対角の角度のどれを指すかで意味が変わる。縦の角度を固定したまま画面を横長にすると、横に写る範囲が広がる。AI に画角を数値で指示するときは、どの向きの角度か、または焦点距離とセンサーの幅を添えると誤解が減る。

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