三点照明
Three-Point Lighting別名:スリーポイントライティング
概要
主役を、キーライト(主な光)、フィルライト(影を明るく起こす補助の光)、バックライト(後ろから輪郭を縁取る光)の三つで照らす基本の配置。立体感、影の濃さ、背景からの浮き上がりを、それぞれ別のライトで調整できる。
デモ
使われる場面
人物やキャラクターの見せ方
顔の立体感を出しつつ、影の側がつぶれないようにする。写真、映像、3D の人物描写の基本になる。
商品や小物の紹介
暗い背景の前で、バックライトで輪郭を光らせ、形を浮かび上がらせる。
ゲームのキャラクター選択やカットシーン
場面全体の照明とは別に、キャラクターを見せるためのライトを置く。
照明を組み立てる出発点
まず三つのライトで形を作り、そこから場面に合わせてライトを足したり消したりして調整する。
判断基準
| こういうとき | こうする |
|---|---|
| 主役が背景に溶け込んで、輪郭が見えない | バックライトを足す。主役の後ろ上方から当て、頭や肩の縁を光らせる。 |
| 影の側が真っ暗につぶれている | フィルライトを足す。キーライトの反対側から、キーより弱く当てる。 |
| 立体感がなく、平板に見える | キーライトを正面から左右に 30〜45 度ほどずらし、少し上から当てる。フィルを弱めて、キーとフィルの比を大きくする。 |
| 明るく柔らかい雰囲気にしたい | キーとフィルの比を小さく(2:1 程度)する。影が浅くなる。 |
| 緊張感やドラマを出したい | キーとフィルの比を大きく(8:1 以上)するか、フィルを消す。影が深くなり、明暗の対比が強まる。 |
こう見えたら
指示の例
キャラクターが暗い背景に溶け込んでいる。バックライトを後ろ上方から当てて、髪と肩の輪郭を光らせて
顔の右半分が真っ暗につぶれている。反対側からフィルライトを足して、キーとフィルの比を 3:1 くらいにして
光が正面から当たって、顔が平板に見える。キーライトを左に 45 度、少し上にずらして立体感を出して
緊張感のある場面にしたい。フィルライトを弱めて、キーとフィルの比を 8:1 くらいにして
詳細
三つのライトの役割
キーライトは場面の主な光で、明るさと影の向きを決める。被写体の正面から左右どちらかに 30〜45 度、上にも 30〜45 度ほどずらして置くことが多い。正面から当てると影ができず、形が平らに見えるためである。
フィルライトは、キーライトの反対側から当て、キーライトが作った影を明るく起こす。影を消すのではなく、影の中の形が見える程度に明るくするのが役割なので、キーより弱くする。
バックライトは、被写体の後ろ上方から、カメラの方へ向けて当てる。被写体の縁だけが光り、暗い背景から輪郭が浮き上がる。縁を細く光らせるこの使い方は、リムライトとも呼ばれる。
キーとフィルの比
影の濃さは、キーとフィルの明るさの比(ライティング比)で調整する。フィルがカメラの側から被写体の両面に同じように当たるとすると、キーの当たる面にはキーとフィルの両方が、影の面にはフィルだけが届く。キーの明るさを 、フィルの明るさを とすると、明るい面と影の面の明るさの比は次のようになる。
デモの「キーとフィルの明るさの比」が 3 : 1 なら、明るい面と影の面の比は 4 : 1 になる。明暗の比が 2〜3 : 1 程度なら影は浅く、柔らかい印象になり、8 : 1 を超えると影が深く、劇的な印象になる。
// キーを基準に決め、フィルは比から、バックは縁が光る程度に強めにする
key.intensity = 3.0;
fill.intensity = key.intensity / ratio; // ratio = 3 なら 1.0
back.intensity = 6.0; // 縁にしか当たらないので、強めでも全体は明るくならない
見分け方と落とし穴
三点照明の絵では、顔の片側に向きのはっきりした陰影があり、影の側も真っ黒ではなく、頭や肩の縁が細く光っている。デモの左側のようにキーライトだけだと、影の側が背景の暗さと区別できず、形の半分が見えなくなる。
ライトを増やすと、影が何重にも出て不自然になることがある。影を落とすのはキーライトだけにして、フィルとバックは影を付けない設定にすることが多い。
三点照明は基本の型であり、決まりではない。窓の光や街灯のように、場面の中に光の出どころがある場合は、その向きにキーライトを合わせると自然に見える。